鳥嶋氏といえば鳥山明のデビュー作『Dr.スランプ』に登場する敵役、Dr.マシリトのモデルであるのはあまりに有名な話。現在では専務取締役にまで出世し、
雑誌事業全般の総責任者として、名実ともに集英社の顔となった鳥嶋氏
ケンコバ「フィナーレのやり方が難しい、と。どのへんがベストだよなー、みたいな考えはあったんですか?」
鳥嶋「やっぱりフリーザ編で締めておくべきだったでしょうね」
そう、ドラゴンボールの初代担当編集が直々に“引き伸ばし”を認めたのである。しかも、フリーザ編終了後の展開で悪役となるのはドクターゲロや人造人間18号だが、
それを見た鳥嶋氏は「ジジイとか女と闘うくらいだったら、もうやめたほうがいい」とまで思ったそうだ。
しかし、人気が出れば出るほど、巻き込む人もカネも大きくなり、やめることはますます難しくなる。そこで、新たな悪役として人造人間セルを追加し、連載は続けられたのだった。
単行本ではフリーザ編は21巻から28巻まで。つまり全42巻のうち、14巻分はある意味蛇足で書き継がれたのだといえる。
今となってはセルやブウの登場しない『ドラゴンボール』は想像できないが、ファンからもよく批判される「戦闘力のインフレ」や「ボール探求という目的の形骸化」、
「死の意味の希薄化」といった傾向が著しくなったのは、その間の出来事である。
その頃、すでに鳥山の担当を離れ、別雑誌の編集部に所属していた鳥嶋氏。番組では「一番苦しい時期に助けてあげられなかった」と忸怩たる思いをつぶやき、続けてこう語った。
「これは、“たられば”で言うんだけど、フリーザ編でやめてたら3つめのヒット作が書けたんじゃないかな」
たしかに『ドラゴンボール』以来、鳥山明は代表作といえるマンガ作品を書いていない。
「あるところから書かせてはいけないところがあるんですね。作家さんには。(鳥山明は書かせてはいけないラインを超えて)真っ白になっちゃったんですね」
そう、鳥嶋氏は分析する。一発当てれば巨万の富が築けるマンガ家稼業。もちろん鳥山明はバクチの大成功者であるが、その代償も大きかった、ということなのだろう。
http://lite-ra.com/2015/06/post-1155.htm...
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